東北大学医学部 神経内科

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HTLV-1キャリアがSLONMを合併した症例報告が論文になりました

2025/07/07(月)
【研究成果のご報告】

このたび宮田杏子先生を筆頭著者として、症例報告“An HTLV-1 carrier with sporadic late-onset nemaline myopathy accompanied by skin lesions indicating indolent adult T-cell leukemia/lymphoma and Sjögren’s syndrome: A case report and literature review”がNeuromuscular Disorder誌に掲載されました。 概要は以下の通りです。


孤発性成人発症型ネマリンミオパチー(SLONM)は、筋組織内にネマリン小体が出現する予後不良の筋疾患で、一部にHIVなどのウイルス感染や血液疾患との合併があります。本症例は、HTLV-1キャリアの女性で、亜急性に筋力低下と皮疹が出現し、精査の結果、SLONM、くすぶり型成人T細胞白血病(ATL)、シェーグレン症候群が明らかとなりました。HTLV-1キャリアがSLONMを合併した報告は数例のみであり、ATLと同時期に発症した例は他に報告がありません。筋力低下と皮疹がステロイド内服で早期に改善したことから、免疫関連の病態が疑われます。

筋、皮膚、唾液腺の病理組織からFoxp3やCCR4を発現するCD4陽性T細胞が異なる割合で検出されました。これらのHTLV-1感染細胞が、皮膚では腫瘍性に増殖、筋・唾液腺では二次性に炎症を惹起したと予想されます。

SLONMの病態はまだ不明な点が多く、本症例が病態や治療法を考察する上で一助となることが期待されます。(文責:宮田)

論文はオープンアクセスで誰でもご覧いただけます。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0960896625001440?via%3Dihub

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