トップ研究活動について > 研究トピックス

研究トピックス

骨形成蛋白質(BMP)4の阻害による筋萎縮性側索硬化症モデルラットの病態進行抑制

2018/07/17

 

Antagonizing bone morphogenetic protein 4 attenuates disease progression of a rat model of amyotrophic lateral sclerosis.

Shijo T, Warita H, Suzuki N, Ikeda K, Akiyama T, Ono H, Mitsuzawa S, Nishiyama A, Izumi R, Kitajima Y, Aoki M. Exp Neurol 2018; 307: 164-179. DOI: 10.1016/j.expneurol.2018.06.009. [PubMed]

【研究内容】
 筋萎縮性側索硬化症 (以下ALS) は成人発症の代表的な神経変性疾患であり、選択的な運動ニューロン変性に伴ってグリア細胞の著しい増生が認められる。アストロサイトは中枢神経系における主要なグリア細胞のひとつであり、生理的状態では神経細胞外微小環境の恒常性を維持する役割をもつが、ALS病態下では慢性進行性かつ持続的に増殖・活性化し、炎症性サイトカインの過剰放出などにより運動ニューロンを傷害することが知られる。わたしたちはアストロサイト活性化を抑制することで神経変性を抑制できるのではと考え、主要なアストロサイト増殖・活性化因子のひとつである骨形成蛋白質(BMP)に着目した。
 日本人家族性ALSではもっとも頻度の高い原因遺伝子であるSOD1のHis46Arg変異体を過剰発現したモデルラット(ALSモデルラット)の脊髄前角では、活性化アストロサイトにおいてBMP4およびBMP受容体の発現が疾患進行にしたがって増加、さらにBMP下流経路であるSmad1/5/8のリン酸化もアストロサイトで亢進していた。BMPの生理的アンタゴニストであるnogginおよびラットBmp4に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を発症後のALSモデルラット脳脊髄腔内へ浸透圧ポンプを用いて持続投与しBMP4を抑制すると、アストロサイト活性化および神経炎症が抑制され、運動機能および生存期間が有意に改善した。
 アストロサイトはBMPなどの液性因子を放出することにより自己もしくは傍分泌性機序を介して慢性活性化しており、この活性化機構が新たな治療標的となる可能性がある。

(四條友望,割田 仁)

 

 
説明図(四條ら, 2018) (説明図.png)

 

←新しい記事へ ↑一覧へ 以前の記事へ→
東北大学 神経内科
〒980-8574 仙台市青葉区星陵町1−1 TEL 022-717-7000(病院代表)