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研究トピックス

東南アジアにおける抗アクアポリン4抗体陽性頻度

2011/08/05

 

S. Siritho, I. Nakashima, T. Takahashi, K. Fujihara, and N. Prayoonwiwat.
AQP4 antibody–positive Thai cases: Clinical features and diagnostic problems
Neurology WNL.0b013e31822c61b1; published ahead of print August 3, 2011

東南アジアでは多発性硬化症の頻度がとても低い一方、視神経脊髄炎の頻度は比較的高いことが指摘されていました。しかしながら、この地域では抗アクアポリン4抗体の測定は難しく、MRIも十分に検査できないことから、両者の鑑別が不十分であることが予想されます。
我々はバンコクのマヒドール大学との共同研究で、MSクリニックを受診した連続135例のMS関連疾患(脱髄疾患)の抗アクアポリン4抗体の有無を検索しました。
臨床的に多発性硬化症と判断した症例の24%で抗AQP4抗体が陽性で、よく見ればNMOの特徴があり、誤診をしていました。また、Wingerchuckの基準は抗AQP4抗体陽性症例の33%でしか満たすことができず、それ以外の症例が現実にはMSと誤診されており、Barkoffの脳MRI基準は、MSもNMOも同程度満たしていました。
NMOの割合が多いアジア地域では、抗アクアポリン4抗体の測定が診断にはとても大事であることが明らかになりました。

 

 
臨床的な診断と抗AQP4抗体陽性数 (Figure1.jpg)

 

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