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研究トピックス

視神経脊髄炎の発症前リスク因子と発症契機

2020/04/10

 

Risk factors of attacks in neuromyelitis optica spectrum disorders
T. Akaishi, T. Takahashi, K. Fujihara, T. Misu, M. Abe, T. Ishii, M. Aoki, I. Nakashima.
Journal of Neuroimmunology, Volume 343, 15 June 2020, 577236.

要旨:視神経脊髄炎(NMOSD)は、視神経や脊髄など中枢神経系に繰り返し病変をきたす原因不明の神経疾患です。その発症に寄与しうるリスク因子や発症前の病歴について、まとまった報告はまだありません。今回わたしたちはNMOSDの連続53症例の発症前の詳しい病歴や既往症を調査し、その発症リスク因子や発症契機を探りました。 その結果、NMOSD症例の20-30%でシェーグレン症候群などの膠原病の既往を発症前に有しており、また10-20%で悪性腫瘍の既往を有していました。発症直前の病歴では、40-50%の症例でNMOSD発症に先行する1か月以内に、感染症、外科手術、アレルギー反応、外傷などのNMOSDとは無関係のエピソードを認めました。膠原病に併発した症例や、発症直前の臨床エピソードを認めた症例では、それらを有さないNMOSD症例と比較して血清中の抗AQP4抗体価が高い傾向がみられました。今回の結果からNMOSDでは上記のような免疫系に影響しうる様々な病態がNMOSD発症の契機となりうることが示唆されました。

文責 赤石 哲也

 

 

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