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研究トピックス

多発性硬化症の重症度と髄液内IgG産生の関連性に関する検討

2020/07/17

 

Impact of intrathecal IgG synthesis on neurological disability in patients with multiple sclerosis
T. Akaishi, T. Takahashi, K. Fujihara, T. Misu, S. Nishiyama, Y. Takai, J. Fujimori, M. Abe, T. Ishii, M. Aoki, I. Nakashima
Multiple Sclerosis and Related Disorders (2020)

【背景】多発性硬化症(MS)では髄液中におけるオリゴクローナルバンドの出現が特徴的な所見のひとつとして知られています。しかし、髄液内におけるIgG産生量と重症度の関連性はまだ完全には解明されていません。
【方法】今回わたしたちは、McDonald基準にもとづいてMSの診断をうけた患者さんのうち、血清中の抗アクアポリン4抗体と抗MOG抗体がともに陰性であることが確認され、また治療開始前の発症時における髄液データが確認できた38名において、髄液検査所見とその後の神経障害度や再発頻度の関連性を後方視的に調査しました。
【結果】一次進行型MSの2名は、再発寛解型の36名と比べて髄液IgG濃度ならびにIgG-indexが高い値をとりました。38名全体でみると髄液IgG濃度ならびにIgG-indexはその後の神経障害度と有意な正の相関を示しましたが、再発頻度とは相関を認めませんでした。
【結論】今回の研究から、MSにおける髄液内IgG産生は、臨床的重症度と一定の関連性を有することが示唆されました。今回は比較的小規模なコホートでの検討であり、今後さらに大規模なコホートでの再確認が望まれます。

文責 赤石 哲也

 

 

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