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研究トピックス

抗アクアポリン4抗体陽性の視神経炎における迅速なステロイドパルス療法の重要性

2020/09/05

 

Rapid Administration of High-Dose Intravenous Methylprednisolone Improves Visual Outcomes After Optic Neuritis in Patients With AQP4-IgG-Positive NMOSD
Akaishi T, Takeshita T, Himori N, Takahashi T, Misu T, Ogawa R, Kaneko K, Fujimori J, Abe M, Ishii T, Fujihara K, Aoki M, Nakazawa T, Nakashima I
Front. Neurol. 11:932, 2020

要旨:視神経炎の多くは非感染性のもので、併存する神経疾患や血清中の自己抗体の有無・種類によって、@ 多発性硬化症における視神経炎、A 抗アクアポリン4(AQP4)抗体陽性の視神経脊髄炎(NMO)における視神経炎、B 抗MOG抗体陽性例における視神経炎、C それ以外(脳病変や自己抗体がない特発性視神経炎)に大まかに大別できます。このうち、抗AQP4抗体陽性のNMOにおける視力予後が特に悪いことは以前から指摘されており、発症後なるべく早くステロイドパルス療法を行うことが視力予後を改善するために大切であることが経験的に示唆されていました。 今回わたしたちは、視神経炎を経験されたNMOの患者さん32名(36病眼)のデータを用い、発症からステロイドパルス療法を開始するまでの早さが視力予後に及ぼす影響を調査しました。その結果、ステロイドパルス療法の回数よりも、発症からステロイドパルス療法を開始するまでの期間の短さが視力予後の改善にもっとも寄与していることが示唆されました。典型的な非感染性の視神経炎が疑われる症例では、抗AQP4抗体や抗MOG抗体などの抗体測定が未実施の場合であっても、抗体測定の結果到着を待たず速やかにステロイドパルス療法を検討することが望ましいと考えられます。

文責 赤石 哲也

 

 

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