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研究トピックス

AQP4抗体陽性視神経脊髄炎における適切な経口ステロイド維持療法

2021/01/30

 

Optimal management of neuromyelitis optica spectrum disorder with aquaporin-4 antibody by oral prednisolone maintenance therapy.
Yoshiki Takai, Hiroshi Kuroda, Tatsuro Misu, Tetsuya Akaishi, Ichiro Nakashima, Toshiyuki Takahashi, Shuhei Nishiyama, Kazuo Fujihara, Masashi Aoki
Multiple Sclerosis and Related Disorders, Volume 49, April 2021, 102750

要旨:
【背景】視神経脊髄炎(NMOSD)の再発予防治療として、ステロイドは経験的に使用されてきたが、そのエビデンスは不十分であり、特に投与量の漸減速度に関する解析は、過去に行われていませんでした。
【方法】東北大学病院脳神経内科へ通院歴のある、AQP4抗体陽性のNMOSD症例89例について、2000-2016年における臨床情報を後方視的に解析しました。
【結果】Prednisolone(PSL)の使用率は2000年時点で17.5%でしたが、2016年には94.1%の症例で使用されており、反対に年間再発率は全体で0.78回/年から0.07回/年へ著減していました。この変化は、AQP4抗体が発見された2004年前後で顕著に認められました。また、PSL治療群ではその再発率が低下し(PSL治療群 vs 無治療群;年間再発率:0.21 vs 0.98, P<0.01)、また10年間の無再発率は、治療群で46.5%であったのに対し、無治療群では7.1%に留まりました(hazard ratio: 0.069, 95% CI 0.024-0.199, P < 0.01)。更に、PSLの漸減速度が速い(1年以内に10mg/day以下、または2以内に5mg/day以下)症例では、漸減速度が遅かった症例に比して、再発率が高くなることが確認されました(漸減早群 vs 漸減遅群, 再発率:36.7% vs 17.7%, odds ratio 2.69, 95% CI 1.12-6.44, P = 0.02)。
【結語】AQP4抗体陽性NMOSDに対し、PSLによる単独治療は有効であり、再発予防治療の選択肢となりうることが示唆されました。

文責 高井 良樹

 

 

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