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研究トピックス

視神経脊髄炎患者髄液中の補体成分C5a上昇

2012/10/02

 

Increase of complement fragment C5a in cerebrospinal fluid during exacerbation of neuromyelitis optica
Kuroda H, Fujihara K, Takano R, Takai Y, Takahashi T, Misu T, Nakashima I, Sato S, Itoyama Y, Aoki M.
J Neuroimmunol. (in press)

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23017732
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0165572812002755

視神経脊髄炎(neuromyelitis optica; NMO)の病変形成に補体が重要であることはこれまで病理学的に示されていたが,NMO患者の髄液中で実際に補体系が活性化しているかどうかは不明であった.本論文では再発期NMO患者(n=15),再発期MS患者(n=15),疾患コントロール(非炎症性神経疾患,n=12)について髄液中および血清中のC3a,C4a,C5a(補体活性化経路の中間生成物で,炎症性メディエーター活性を持つ)を測定し,その臨床的意義について検討した.
血清C3a-C5aおよび髄液C3a,C4aについては3群間で差を認めなかった.髄液C5a濃度はNMO群でコントロール群より有意に高く(p<0.05),この差は髄液蛋白濃度で補正しても有意であった.臨床症状との関連をみると,脊髄および脳での造影効果を認める群で髄液C5aは高値であり,髄液C5a値は再発の臨床的重症度と正の相関を示した.これらの結果は,補体系がNMOの治療ターゲットとなりうることを示唆している.

 

 

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