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研究トピックス

ALSの誤嚥防止術後の長期経過

2022/03/16

 

Long-term outcomes after surgery to prevent aspiration for patients with amyotrophic lateral sclerosis.
Soga T, Suzuki N, Kato K, Kawamoto-Hirano A, Kawauchi Y, Izumi R, Toyoshima M, Mitsuzawa S, Shijo T, Ikeda K, Warita H, Katori Y, Aoki M, Kato M.
BMC Neurol. 2022 Mar 16;22(1):94. doi: 10.1186/s12883-022-02619-z.

【背景】ALS患者では嚥下機能低下による誤嚥性肺炎や窒息が致死的病態となることがある。誤嚥防止術によりこれらの病態を予防できるが、ALS患者の誤嚥防止術後、長期間経過後の予後は明らかになっていなかった。【方法】2015年1月から2018年11月の間に誤嚥防止術として喉頭中央分離術(CPL)を施行したALS患者で、状態評価およびメンテナンス入院を行った患者を対象とした。入院時に本人および主介護者に対し、誤嚥防止術に関する質問紙によるアンケートを実施した。誤嚥防止術後の低圧持続吸引器の導入が痰吸引回数と主介護者のQOLに及ぼす影響についても検討した。【結果】6例(男性4名)が対象となり、全例胃瘻造設後にCPLを行っていた。年齢は平均57.7歳、術後経過月数は平均33.5ヶ月であった。手術による合併症は5例で呑気症を認め、嘔気を伴ったが、定期的な脱気などの処置により短期間で改善した。5例が経口摂取を継続できていた。誤嚥性肺炎の発生はなかった。低圧持続吸引器を導入した全5例で痰吸引回数の減少を認めた。誤嚥防止術に対する患者および主介護者の満足度は高かった。【結語】CPLおよび低圧持続吸引器の導入は経口摂取の継続、痰吸引回数を減らし本人及び主介護者のQOLを改善する可能性があり、ALS患者の治療オプションとなりうる。経口摂取の継続には支援者の確保・理解も重要である。

文責 曽我天馬、鈴木直輝

 

 

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