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研究トピックス

パーキンソン病病原タンパク質の受容体を特定 病態メカニズムの解明、進行抑制治療開発に期待

2023/06/14

 

Sortilin acts as an endocytic receptor for α-synuclein fibril
Shun Ishiyama, Takafumi Hasegawa, Naoto Sugeno, Junpei Kobayashi, Shun Yoshida, Yasuo Miki, Koichi Wakabayashi, Mitsunori Fukuda, Yasushi Kawata, Takaaki Nakamura, Kazuki Sato, Michinori Ezura, Akio Kikuchi, Atsushi Takeda, Masashi Aoki
The FASEB Journal. 2023;37: e23017.

要旨: パ−キンソン病では、凝集したαシヌクレインとよばれるタンパクが神経細胞間を伝播し蓄積することで神経細胞死が誘発されますが、その詳細なメカニズムは不明でした。
今回、凝集αシヌクレインが脳内で拡大・蓄積するメカニズムを明らかにしました。
本研究では、脳全体の膜タンパク質を網羅的に探索し、神経細胞表面の凝集αシヌクレインの取り込み口となる受容体タンパク質として、ソーティリンを新たに同定しました。
ソーティリンと結合した凝集αシヌクレインは細胞内へ取り込まれ、エンドソームとよばれる袋状の構造体に運ばれて蓄積します。
パーキンソン病および類縁疾患である多系統萎縮症患者脳内のαシヌクレイン陽性のレビー小体・グリア細胞内封入体でソーティリンの集積が検出され、ソーティリン発現抑制・抗ソーティリン抗体により、凝集αシヌクレインの神経細胞への取り込みと蓄積が有意に抑制されることが明らかとなりました。
これらの知見は、パーキンソン病関連疾患の病態解明に貢献すると同時に、今後の進行抑制治療薬の開発に寄与することが期待されます。
本研究成果は、2023年6月5日に米国実験生物学会連合の科学誌 The FASEB Journal に掲載されました。

文責 長谷川



プレスリリース

 

 

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