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研究トピックス

X連鎖性球脊髄性筋萎縮症における下肢姿勢時振戦

2014/04/21

 

Nishiyama A, Sugeno N, Tateyama M, Nishiyama S, Kato M, Aoki M.

Postural leg tremor in X-linked spinal and bulbar muscular atrophy.

J Clin Neurosci. 2014 May;21(5):799-802.

球脊髄性筋萎縮症 (Spinal and bulbar muscular atrophy: SBMA)は、アンドロゲン受容体遺伝子のCAGリピート延長に関連した運動ニューロン疾患であるが、非運動ニューロン症状として、女性化乳房や上肢の姿勢時振戦を伴うのが特徴である。これまでの報告より上肢の振戦は末梢性の感覚入力変化との関連が示唆されているが、下肢の振戦に関してはほとんど検討されておらず、その性状や機序は不明である。本研究では、遺伝学的にSBMAと診断された男性患者12例(38−64歳)を臨床電気生理学的に分析し、下肢の振戦と感覚神経経路の異常との関連を検討した。全例で上肢の姿勢時振戦を認め、下肢の振戦を有する患者は3例、4−7Hzであった。腓腹神経の感覚神経誘発電位は下肢の振戦を有する患者のみ導出不能であり、SBMAにおける下肢の振戦出現にはより強い末梢性感覚入力の低下が必要であることが示唆された。

一方、CAGリピート数はSBMAの表現型に寄与するとされ、短い(<47)リピート数ではsensory-dominant phenotype、長い(≧47)リピート数ではmotor-dominant phenotypeを示す.今回、短いリピート数(<47)患者のうち60%で下肢の振戦がみられ、長い(≧47)リピート数患者では下肢の振戦を認めなかった.SBMA患者において、下肢の振戦から短いCAGリピート数が予測可能であるかもしれない.

(文責:西山亜由美)

 

 

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