トップ研究活動について > 研究トピックス

研究トピックス

プロカルシトニンは神経ベーチェット病と細菌性髄膜炎との鑑別の一助となりうる

2010/02/24

 

Procalcitonin might help in discrimination between meningeal neuro-Behçet disease and bacterial meningitis (Neurology 2009;72:762-3.)

○鈴木直輝

Naoki Suzuki, Hideki Mizuno, Masahiro Nezu, Yoshiki Takai, Tatsuro Misu, Hiroshi Kuroda, Masashi Aoki, Ichiro Nakashima, Yasuto Itoyama.

神経ベーチェット病はベーチェット病の10-30%に生じ、髄膜刺激症候や髄液中の多核球優位の細胞上昇など急性髄膜炎症状を呈することがあり細菌性髄膜炎と鑑別が難しい場合がある。プロカルシトニンはカルシトニンの前駆体として甲状腺のC細胞で生成される。全身性の感染症で値が上昇するが、ウイルスや真菌などの感染や局所的な細菌感染では上昇しない。エンドトキシン、CRP、IL-6などの血中マーカーよりも細菌感染症により特異的であるとされる。我々は以前細菌性髄膜炎との鑑別を要した神経ベーチェット病の一例を高次修練学生であった祢津昌広君に報告してもらっている (臨床神経 48:750-753, 2008)。この報告を発展させる形で当院での神経ベーチェット病の7症例について急性期の血清プロカルシトニンを測定し細菌性髄膜炎症例と比較した (Table)。神経ベーチェット病の急性期ではいずれの症例もプロカルシトニンの上昇は見られず細菌性髄膜炎との鑑別に有用と考えられた。より多数例で検討する必要があること、プロカルシトニン値は結果が出るまで現状では2−3日かかることが克服すべき課題である。

Table legends
Serum procalcitonin and other parameters in the patients of neuro-Behcet disease
NBD = neuro-Behcet disease; M = male; l-CC = cell counts in lumbar cerebrospinal fluid; Seg = Segmented form of WBC in cerebrospinal fluid; serum PCT = serum procalcitonin; l-IL-6 = IL-6 in lumbar cerebrospinal fluid; NA = not available

 

 

←新しい記事へ ↑一覧へ 以前の記事へ→
東北大学 神経内科
〒980-8574 仙台市青葉区星陵町1−1 TEL 022-717-7000(病院代表)