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研究トピックス

比較的軽微な眼球外傷が契機として疑われる抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎の3例

2021/02/19

 

Optic neuritis after ocular trauma in anti-aquaporin-4 antibody-positive neuromyelitis optica spectrum disorder.
Akaishi T, Himori N, Takeshita T, Fujihara K, Misu T, Takahashi T, Fujimori J, Ishii T, Aoki M, Nakazawa T, Nakashima I.
Brain Behav. (2021) doi: 10.1002/brb3.2083. Online ahead of print. PMID: 33591639

要旨:
【背景】今回わたしたちは、軽微な眼球外傷が発症の契機として疑われる抗アクアポリン4抗体陽性視神経炎の症例3名を報告しました。 【症例】3名ともテニス中や就寝中といった比較的低エネルギーの眼球外傷ののち数日〜数週間の経過で視力低下が進行し、その後血清中の抗アクアポリン4抗体が陽性であることが判明しました。いずれの症例も眼窩および頭蓋底に骨折を認めず、また網膜剥離・硝子体出血・眼底出血なども認めませんでした。3名中2名はこれらの外傷後視神経炎が初発エピソードで、残る1名は延髄病変と脊髄炎が外傷後視神経炎に先行していました。外傷後視神経炎に際して迅速にステロイドパルス療法が行われた1名では視力が完全に改善しましたが、行われなかった2名では明らかな視力回復が得られませんでした。 【結語】抗アクアポリン4抗体を有する症例では、軽微な眼球外傷が視神経炎の発症に関連しうることが示唆されました。外傷を契機とする場合でも視神経炎の診断となれば非外傷例と同様に迅速なステロイドパルス療法の実施が望ましいと考えられます。

文責 赤石 哲也

 

 

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