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研究トピックス

抗GAD抗体に関連した側頭葉てんかんの臨床像

2015/09/12

 

抗glutamic acid decarboxylase抗体に関連した側頭葉てんかん4例の臨床的特徴
臨床神経学cn-000740
http://doi.org/10.5692/clinicalneurol.cn-000740
【背景・方法】
 抗GAD抗体は1型糖尿病やstiff-person症候群などに関連する自己抗体だが,難治性の側頭葉てんかんでも検出されることがある.本研究では,当院で経験された抗GAD抗体陽性の側頭葉てんかん4例の臨床的特徴を調査した.
【結果】
 側頭葉てんかんの発症年齢は,4例中3例で40-50歳代の中年期であった.4例とも発症時には脳炎・脳症を疑う所見に乏しく,抗てんかん薬内服による治療を行ったが難治に経過し,2-3剤の抗てんかん薬の併用を要した.数年から数十年後にインスリン注射を要する糖尿病,小脳失調,高次脳機能障害を併発し,抗GAD抗体の関与が疑われ診断に至った.診断後,4例中3例でステロイドパルス療法またはIVIgが行われ,てんかん発作,小脳失調および高次脳機能障害に対して一定の効果を認めた.
【結語】
 中年期以降に発症する難治性の側頭葉てんかんで,特に糖尿病,小脳失調,高次脳機能障害などの併発をみた場合,抗GAD抗体の関与も疑われる.診断後は,神経症状に対して免疫調節療法に一定の効果が期待できる. (文責:赤石 哲也)

 

 

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