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研究トピックス

三次元電磁相互作用を基礎とした無髄および有髄神経伝導の統一理論

2018/05/30

 

三次元電磁相互作用を基礎とした無髄および有髄神経伝導の統一理論

Nerve conduction models in myelinated and unmyelinated nerves based on three-dimensional electrostatic interaction.
Akaishi T.
Neural Regen Res (2018). 13(5):779-785.
http://www.nrronline.org/temp/NeuralRegenRes135779-9535311_023855.pdf


【背景】 最近になって、無髄および有髄神経伝導を純粋に三次元空間内に生じる電磁相互作用のみから説明する試みがなされ、神経伝導を表現する新たなモデル提唱の試みが徐々に始まっている。無髄および有髄神経伝導を統一的な理論によって融合できるかが現時点での最重要課題である。また膜電位の静的状態を説明する従来のGHK電位式に加え、活動電位や神経伝導の動的状態を恣意的な条件設定を経ずに数理的に表現できる理論の構築も必要である。
【結果】 今回、活動電位および神経伝導を、動的に挙動する電荷間にはたらく静電気力とそれに伴う微細な質量移動によってのみ説明する理論構築を試みた。数理的なシミュレーションの結果、無髄神経伝導を膜チャネル間のミクロなスケールで表現し、有髄神経伝導を絞輪間のマクロなスケールで表現することで、両者とも静電気力を表現する基本的な単一の物理公式から一元的に表現しうることが示された。この基本公式をもとに無髄および有髄神経伝導はそれぞれシンプルな3つの連立方程式で表現でき、これらは既知の神経伝導に関する知見とも整合性が保たれていた。
【展望】 活動電位および神経伝導を動的に表現できる三次元電磁相互作用モデルを提示した。理論的には本モデルによって無髄・有髄神経伝導を統一的に説明できる。高処理能力の電算機を用いた各電荷の三次元動態シミュレーションが可能になれば、本モデルをもとに神経伝導に際する質量移動を可視化でき、長期的にはBMIデバイス開発の基礎理論につながることも期待される。(文責:赤石 哲也)

 

 

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