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研究トピックス

ジスフェルリン異常症を引き起こす遺伝子群の解明

2015/12/25

 

ジスフェルリン異常症を引き起こす遺伝子群の解明 Genetic profile for suspected dysferlinopathy identified by targeted next generation sequencing. Izumi R, Niihori T, Takahashi T, Suzuki N, Tateyama M, Watanabe C, Sugie K, Nakanishi H, Sobue G, Kato M, Warita H, Aoki Y, Aoki M. Neurol Genet. 2015 Dec 10;1(4):e39 DYSF遺伝子変異によっておこる肢帯型筋ジストロフィー2B型や三好型遠位型ミオパチーは「ジスフェルリン異常症」と総称されています。 ジスフェルリン異常症が疑われる症例における、DYSF遺伝子のPCR-SSCP法による解析では、変異が確認されない症例も約4割存在し、これらの患者では、二次的にジスフェルリンの発現低下を起こす別の遺伝子の変異が関連していることが予想されていましたが、従来の技術では、多数の遺伝子を網羅的に解析することが困難でした。そこで、本研究では、これらの患者を対象に、次世代シークエンサーを用いて筋疾患と関連することが知られている42遺伝子の翻訳領域を対象に遺伝子の配列決定(ターゲットリシークエンス解析)をおこない、原因遺伝子を探索しました。 その結果、解析した64名のうち新たに38名(59%)で症状と関連が疑われる原因遺伝子変異が確認されました。実際に、骨格筋組織でジスフェルリン蛋白の発現の低下が確認されている90名の横断的解析では、その70%にDYSF遺伝子、10%にCAPN3遺伝子、5%に他の遺伝子(ANO5など)の変異を認めていました。このように、ジスフェルリン異常症を引き起こす遺伝子の種類やその割合などの具体的な遺伝子背景が本研究により初めて明らかとなりました。更に、解析を継続することで、ジスフェルリンの機能と密接に関わる新たな分子が明らかとなり、ジスフェルリン異常症の筋細胞膜の修復障害の病的機序が明らかとなる可能性があります。(文責:井泉瑠美子)

 

 

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